メモ:4章

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4章 グリーン・ゲイブルズで迎える朝

Morning at Green Gables
アンの朝の印象を考慮すると、グリーン・ゲイブルズで(初めて)迎える(素晴らしい)朝だろう。
Anne awoke and sat up in bed
アンは早起きが苦にならないので、低血圧タイプではない。 これは教師時代に朝早く起きて文章を書く練習をしていたLMMも同じだろう。
But it was morning and, yes, ... With a bound she was out of bed and across the floor.
Robert Browning, "Pippa Passes"の冒頭部 と比較。
A large mean airy chamber. A girl, PIPPA, from the Silk-mills, springing out of bed.

DAY!
Faster and more fast,
O'er night's brim, day boils at last:
On both sides of the house was a big orchard, one of apple-trees and one of cherry-trees
cherry-treeが果樹園にあるので、cherry-treeは桜でなくサクランボではないかと思う。 同じく、ブライト・リバー駅のwild cherry-treeも野生のサクランボではないかと思う。 後のマリラのセリフにも出てくるが、cherry-treeは花を見るのでなく、 サクランボの実をとるための果樹である雰囲気が強い。 「桜」と日本語にすると、そこらへんの感じがかえって伝わらないのではないか?
AGG(J):2章 で「桜の木」に登って眠るのは、原文よりなんとなく余計にロマンチックに聞こえるのではないだろうか? 一方「サクランボの木」で眠るというのはちょっと変わっている、と日本語でも感じると思うが、 こちらの方が原文のアンに対するマシューの印象に近いのかもしれない。
lilac-trees purple with flowers
紫のlilacの花言葉は「初恋」、白は「青春の天真らんまんさ」 [ジーニアス英和] 。アンがグリーン・ゲイブルズの景色に「初恋」したのかも。 これからのアンのことを考えると、白でもよかった?
but I meant everything,...
アンのセリフはbutが多い。頭の中でどんどん話題が変わっていくからと、 気分がその場で次々と変わるからだろう。マシューがついていけなくて 目眩を感じた理由はこれだと思う。
howling wilderness
  1. the Wildernessでキリストが40日過ごした荒野 [リーダーズ+][マタイ伝,004:001]
    Then was Jesus led up of the spirit into the wilderness
    to be tempted of the devil.
  2. [Annotated AGG,p.78] [申命記,032:010] 。モーセがイスラエルの民衆に演説しているシーン。 Heは神。himはヤコブ?
    He found him in a desert land, and in the waste howling wilderness;
  3. [日記(E)1,p.269, Nov. 18, 1901] でも使われている。
    and altogether life has seemed like a howling wilderness.
  4. Olive Schreiner(1855-1920), "The Story of an African Farm"(1883), chap. 2.IIIにも、
    life would be a howling wilderness
    が登場する。
良く使われる表現らしい。
I'm better at looking after children...I don't feel as if I wanted any more children...
この辺の、アンとマリラの視点の違いが面白い。アンがボケで、マリラが突っ込み? こういう会話は何度も現れている。
YOU'RE problem...What's to be done with you...
アンという問題をどう始末をつけるか、 と本人の前で言っている。これも傷つく言い方である。
what to do with youは、アンの両親が亡くなった時(what to do with me)、 トマス夫人の旦那さんが亡くなった時(what to do with me)、 そしてマリラが孤児院に送り返そうとした時(What's to be done with you)と3回現われる。
実のところグリーン・ゲイブルズでも、 マシューが死んでマリラが部屋を借りることになりかかった点では同じ状況が再現されるのだが、 アンはこの3回目の人生の転機をほぼ自力で乗り切ることになる。 これは同じパターンを2度経験したことで可能だったのではないだろうか。
face alight, eyes glowing...light and glow as effectually blotted out...clapped an extinguisher on her.
ろうそくみたいに燃え上がったのが一瞬で消された感じ。 alightとlight,glowingとglowが対。
Charles DickensのChristmas Carol, Stave 2による [Annotated AGG,p.80]
beating a retreat
「撤退の太鼓を鳴らす」の意味 [リーダーズ+] 。 階段をどんどんと音をたてて降りるのが、撤退の太鼓の音なのだと思う。
Anne had relapsed into reverie...when Marilla returned from her cellar pilgrimage.
1章でfor a world which was meant to be taken seriouslyと言ったマリラから見ると、 reverieやBen Hurなどのstorybooksは堕落に見えるだろう。 巡礼(pilgrimage)から戻ると、もとの世界が再び堕落(relapsed)していた、 というのは何かの引用か? 前段でbeating a retreat down to the cellarと戦争を暗示しているので、あるいは十字軍か?
  1. ウォルター・スコットの「アイヴァンホー」は、 アイヴァンホーがリチャード獅子心王(Richard the Lion-Heart)の随員として、 3回目の十字軍に行っている間に国が乱れてしまい、 こっそり謎の騎士として英国に帰ってきていたリチャード王と共に戦うという話である。 比較的状況が合っているように思う。
  2. pilgrimageではないが、 [出エジプト記,19:1-32:35] では、モーセがシナイ山に上って10戒の石板を2枚授かり、 帰ってみたら民が金の雄牛の像(偽の神)を讚えていた というくだりがある。
似たような状況は他にもあるかもしれない。
Marilla had a sense of having wasted words and breath.
無駄を嫌うマリラの性格か、その当時の倹約の風習か?それとも諺?
Matthew opened the yard gate for them
庭の門はグリーン・ゲイブルズの野ばらが生えた長い、たぶん狭くて真っすぐな小径につながっている。 門が狭いわけではないので直接関連するかわからないが、 [マタイ伝,007:014] にこういうのがある。
Because strait is the gate, and narrow is the way, which
leadeth unto life, and few there be that find it.
「真っすぐで狭い門だけが生命に通じる、その道を見つけるものは少数だ」 アンはグリーン・ゲイブルズの狭き門を通過できたのかもしれない(一度は追いだされかけたが)。
またジョン・バニヤンの「天路歴程」 [天路歴程(E)] [天路歴程(J)] に"the highway named Salvation"(救いの垣)というのがあって、似ているようにも思う。
I told him I guessed I'd hire him for the summer.
[Annotated AGG,p.82] では、アンを引き取ることは、雇い人に余分な給料を払う必要を指摘している。
確かに仕事を手伝ってもらうつもりだったのに、 お金はかさむし見掛けのデメリットばかりがめだつ。 一方、後にマリラも認めるように、カスバート家が見違えるように明るくなったし、 アンのためと思えばマシューも働きがいがあったのではないか? 精神的な黒字とバランスして収支はトントン?
Marilla made no reply...
マリラとマシューの会話があるせいかアンが出てこない。 アンを出すと、マリラとマシューの会話にかぶるから? いずれにしても、アンはあまり口をきいていなかったと思われる。
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osawa
更新日: 2002/12/07