メモ:19章

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19章 コンサート、大失態、そして懺悔

A Concert, a Catastrophe, and a Confession
C,C,Cと3つのCで統一したタイトル。
廃語であるが、catastropheはお尻の意味がある [OED] 。William Shakespear, "King Henry IV", PartII, ACT II, SCENE Iで、Falstaffが
I'll tickle your catastrophe.
お尻をくすぐってやるぞ。
と言う場面がある [Works of Shakespeare] 。アンとダイアナがミス・バリーの上に飛び上がってお尻を乗っけた意味? もしそうならCatastropheは支離(尻)滅裂とか?
probably no mortal will ever know...
TVや映画の「ミッション・インポッシブル」のように困難を乗り越える雰囲気である。
I'm not saying it isn't.
it's all nonsenseと言ったばかりなので、マリラは分が悪い。
you're dripping greasy water all over the floor. I never saw such a careless child.
dripはお世辞、greasyはお世辞たらたらのの意味がある [リーダーズ+] 。アンがマリラの言葉をヨイショした意味? carelessは古語でのんきなの意味がある。全くこんなお気楽な子はいないという意味?
If you catch pneumonia...
ヴィクトリア朝英国の統計では、病気による死亡原因の上位は、 心臓病(heart disease,13%)、結核(tuberculosis,10%)、 気管支炎(bronchitis,9%)、肺炎(pneumonia,8%)だった [Man Environment Deseasep.192] ので、肺炎による死亡率が高かった。カナダでも同じようなものだったろうか。
LMMの父Hugh Johnは肺炎で亡くなった [日記(E)1,p.248, May 1, 1900]
You didn't know just how I felt about it, but you see Matthew did.
目の前でアンに自分とマシューの比較をされて、 マリラはあまり面白くなかったのではないだろうか。 それともマシューもアンも変わってるから、常人には理解できなくて当然と思ったろうか?
Carrie Sloane cried into her grammar all the afternoon and felt that life was not worth living.
コンサートに行けるアンの気持ちと対になる。
「生きるに値する/しない」は、この19章の他に11章の日曜学校の
Anne felt that life was really not worth living without puffed sleeves.
32章の合格発表
That moment was worth living for.
と、全部で3度繰り返される。
Tinkles of sleigh bells and distant laughter, that seemed like the mirth of wood elves, came from every quarter.
18章でアンがダイアナの家から戻るときの描写に似ている。 理由があって似せたのか?
Do I really look the same as usual?
アンが訊いたことと、ダイアナが答えたことは食い違っているのだろう。 アンは内面のことを言っているのに対し、ダイアナは外面のことを言っている。 でも、たぶん二人の間ではそれでも意味が通じるのかもしれない。
"climbed the slimy ladder, dark without one ray of light," Anne shivered in luxurious sympathy
プリシーがLMMでフィリップス先生がマスタード先生なら、 希望もなく(絞首刑になるため(climb the ladder to bedで、絞首刑になる [リーダーズ+] )/苦難の)梯子を登っていく自分に非常に同情する、とも読めそうである。
[Annotated AGG,p.216] では、原文(Rose Hartwick Thorpe, "Curfew Must Not Ring Tonight") は"climbed the dusty ladder"なので、引用間違いとのこと。
Making Of America にある版ではLMMが引用したとおりにslimy ladder(ぬめったはしご)である。 間違いではなく異版なのだろう。
the parlor, a long narrow room out of which the spare room opened.
細長い部屋から、地獄が口を開けているように読めないか?
the embers of a fire
the embers of a fireは地獄の火か?grateは鉄格子?dimly lightedは大失態をぼんやりと予感させたの意味?
She's awfully old--seventy anyhow
19世紀末英国の誕生時の期待寿命(expectation of life at birth)は44歳程度だった [Man Environment Deseasep.196] 。たぶん幼児の死亡率が高いため、期待寿命が短いのだと思う。 これでも18世紀より10歳伸びている。 このことから、70歳を越えたミス・ジョセフィン・バリーが、 ダイアナから如何に老人とみられていたかわかる。 今の日本なら100歳くらいの感じだろうか? 50歳のマリラ、60歳のマシューも、アンから見てかなり年をとって見えていたはず。
She was fairly dancing with rage
グリム童話だと、Rumpelstiltskin(本当の名前を言い当てられた怒りで、 自分の体を引き裂いてしまったこびと) [19C. German Stories] がこれに相当する。
Anne bearded the lion in its den
AGG(J):2章 のマシューのセリフでも同じ表現が使われている。
knocked faintly
faintlyはかすかに、力なくの意味だが、気絶しかかった/気が遠くなった(faint)、 の意味もかけていると思う。
She wheeled around in her chair
wheelは運命の紡ぎ車のことだろうか?アンにとってはお金持ちのパトロンに出会ったようなもの。
Much of the snap had gone out of the old lady's eyes
ミス・バリーはアン・シャーリーの何処を気にいったのだろうか?
  1. 誰もが自分にへつらうのにこの子は意見したこと、対等性を主張したこと。
  2. 自分が怒ると怖いはずなのに途中で退散しなかったこと
  3. 自分から怒ってくれと言い出したこと、怒られ慣れているらしい変な子だが悪い子ではなさそうなこと
  4. 思いもつかない視点を提供したこと、その視点は理解できるものだったこと
  5. 長年忘れていた想像力を思い出せと言われたこと、それで少しは若い気分になれたこと
  6. 孤児である逆境を逆手に説得材料にしたこと、 馬鹿なことをしたと思っていたカスバート兄妹の育てるその当人だったこと
  7. 話も行動も面白い子であること、見かけが印象的(赤い髪、そばかす)であること? こういうこと?「意外性」に集約されるだろうか。
    I told you so
    AGG(J):12章 末で、マリラが「だから言ったじゃないか」と言われるのは嫌だと言っている。 自分も使っているのに。
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osawa
更新日: 2002/12/07