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朝起きて、荷物をドアの外に出す。
TGV に乗る時刻が早いので、朝食を取る間もなく車中で弁当である。
ロビーに行くとおびただしい数のスーツケースが林立している。
阪急観光のツアーの人もこのホテルに来ていた。
向うの荷物は53個あった。大所帯なので、添乗員は2人来ている。
ベテランと新人のようだが、このやりとりが面白かった。
新人は、荷物は TGV の乗る時に確認するので、
今ここで点検しなくて良いと主張。
ベテランは、 TGV に乗る時はあわただしいので、そこでの点検は無理だし、
数が足りなかったからといってホテルに戻る訳にはいかない、
絶対に今ここで確認すべきだと言っている。
私には、どう考えてもベテランの言う事の方が筋が通っているように思えるが、
新人は後で数えればいいと言い張っているので面白かった。
それにしても阪急観光のツアーは、昨夜のホテルの到着も私達より遅かったらしい。
ツアー日程も名鉄観光より強行軍との事であった。びっくりするより他に無い。
さて、私達の荷物がバスに積まれて出発。
すぐに添乗員さんが、手違いで弁当が積まれていない事に気が付き、
バスはバックしてホテルへ、そしてすぐに駅へ向かう。
TGV の発車まで少し時間がある。駅の中に少し土産物屋があって、
焼きたてのパンや食品、菓子を売っている。
スイスからフランスへ行く TGV なので、乗る前にパスポートコントロールがある。
しかし、実際には係官がパスポートを見ていた雰囲気は無い。団体のせいか?
車内では、父と母は隣合わせ、私は通路をはさんで隣に座った。
(席の番号は連番なのだが、ボックスは別)
一緒に居合わせたのは、黒人で目鼻立ちの整ったビジネスウーマンで、
一心不乱に携帯でメールを打っていた。
添乗員さんは「外人と一緒になってしまってごめんなさい」と私に謝ってくれたのだが、
なぜ外人と一緒の席だと添乗員さんが謝るのか、良く解らなかった。
だってここは外国、外人はむしろ私達である。
しかし、文句を言う旅行客も居るという事であろう。
さて、私達は切符を持っていなかったが、車掌が切符を見に来たので、
"We are traveling in a group. Tour conductor will handle"
と言ってしまったが、ツアーコンダクターは和製英語だった。
Tour operator か tour reader と言うべきだったと思ったが、
まあ、意図は理解してくれたようなので訂正はしない。
弁当の中身は紙パックのジュース、形の悪い青リンゴ、
切り目にハムが入ったパンという簡単な物であった。
それを平らげて、パリのガイドブックを読んだり、
旅行日記を書いたり、
Web で調べた海外安全情報を印刷した物を読んだりしていた。
パリはドイツやスイスとは訳が違うからなぁ、と気を引き締める。
後ろの席は仲の良い母娘連れ。パリのガイドブックを読んでいる所からすると、
自由行動日は自分達で行動するようだ。そこで、安全情報の資料を
「良かったら参考に」と言って渡す。
パリ
パリに着いた。駅を出て、薄汚い印象の黄土色で塗装をしたバスに乗る。
これは、サロンカー形式で、列車のボックス席みたいな配列になっている。
私は後向きの席に座り、父と母に前向きの席を譲った。
ソファーは皮張りなので、固い物を置くと傷つくので置かないで欲しいと注意あり。
バスの中に両替商が乗ってくるというので見ていたら、
若い兄ちゃんが乗ってきて、一万円単位で両替していた。
レートは、「まあ、こんな物」というべきか。
利用していた人もいた。その兄ちゃんは、商売が済むと愛想を振りまいて、
「良い旅行を!」と言って降りていった。
ツアーに行く前は「パリで中華料理?」と思っていたが、
今や私も何となくご飯が食べたい気分になっている。
私も次第に若くなくなってきて、
外国の料理に対する適応力が低下しているのだろうか? 去年の今頃は、
中東を旅行していて、連日アラブ料理を食べても平気だったのになぁ。
料理がテーブルの中央に出され、各自が取り皿に盛るのだが、
私のテーブルは熟年夫婦が多かったので、大いに食べた。
チャーハンはニンニクの臭いが強かったが、どんぶりで3杯程も食べただろうか。
チャーハンで終りかと思ったら他にも色々出たので、それも食べる。
ジャスミン茶もおわかりをした。ちょっと食べ過ぎたかな。
パリのガイドさんは男性でフランス語が達者。名口調で色々説明してくれた。
説明を聞きながら、
パリの見所をバスの車窓から見て回った。
パリと言えば、7年程前には3泊して存分に見た記憶があるが・・・
しかしツアー参加者は、パリは初めての人が多かったようだ。
スリに注意
ノートルダム寺院に行ってステンドグラスを見る。
ここはマリアに捧げた物で、
寺の向かいの
土産物屋で小休止。
フィルムを使い果たした母のために ASA400 の36枚撮りの50フランを2本買う。
高いが、仕方ない。
後は絵葉書を買う。
パリ三越
日本でも三越には行かない (東急やヨーカドー、ダイエーなら良く行くが) のに、
パリに来てまで三越に行ってどうするのかと思うが、
フランス人形とケースがセットで1万円とか、
ブランド物や香水が安いとか説明していた。
店内を一眺めしてみたが、
買う気になる物はなかったが、ツアー客の中にはお金のある人もいるようだ。
私は、ここにいてもしょうがないので、抜け出してカフェにでも行こうと提案。
ガイドブックには幾らか良い店が書かれているが、
もはや集合時間に遅れる事は許されないので選り好みはできない。
最寄りのカフェで、スプライトは幾らかと聞く。
7upならある、35フランだとの事。
観光地価格だなと思ったが、
「パリのカフェでオープンテラスに座ってのんびり過ごしたぞ」という記念なので仕方が無い。
手間を省くためにウエイターが7upを持ってくるのと引換にその場で支払を済ませ、
排気ガスや騒音にもめげずにパリの気分を味わう。
パリとスト
パリでは突然ストが起きる。日本と違って予告ストではなく、
いきなりストをやる。公務員もお構い無し。
昨日はストをやっていて、ルーブル美術館もベルサイユ宮殿も入れなく、
新聞もストをやっていたので状況が分からなかったそうである。
本当に、「行ったらストで入れなかった」という状況らしい。
そして、日本では4月が春闘の季節で、「ストをやるぞ!」と労使で交渉するのだが、
パリでは6月がストが多発するシーズンらしい。
教訓:パリに6月に行く計画は立てるべきではない
しかし、私達は6月にパリに来てしまっている。
だいたい、これを見なかったらパリに来た意味が無いとも言うべき、
ルーブルやベルサイユが、行ったら初めて見学できるかどうか判る、
というわけか? なんてメチャクチャな話なんだろう。
ルーブルに行った。私達は入れた。ああ、ラッキーが続くなぁ。
(しかし、パリに来ていた日本人ツアー客で、
昨日がルーブルとベルサイユ見物の予定だった人達は一体どうなっちゃったわけ?)
ルーブルの走り方
ガイドさんは、「ルーブルで これを見ずして 帰れるか」ともいうべき代表作を、
漏らさず皆に見せようとしてくれている。それは、とてもありがたい。
しかし難点が1つ;ルーブルはとても広い。ミロのヴィーナスを見て、
モナリザを見て、といった感じで観賞するという事は、
広いルーブル狭しと走り回らなければいけない。
これは、ノイシュヴァンシュタインの下り坂で急いだために足がガクガクしている父と母には辛い物となった。
(シニア向けのツアーではない以上、仕方が無いのだが)
ガイドさんは絵の勉強もしていて、解説はとても興味深い。
モナリザは人だかりで、フラッシュ禁止であるにも関わらず、
絶え間無くフラッシュが光っている。しかし、実は特殊なガラスがはめられていて
- フラッシュで絵が痛む事は無い
- フラッシュを焚いて撮影しても。真っ黒なガラスが写るだけで絵は写せない
ようになっているとの事。この、観客のモラルに期待しない解決策というのは素晴らしいと思った。
私はツアー客の1人に言った。「以前、ここに来た時は、駆け足で絵を見て回るツアー客を鼻で笑いながらマイペースで見ていたのに、今度は自分がツアーで走りながら絵を見る側に回った」と。「それもいいんじゃないの?」とのウィットのあるご返事。
まあね。
バスはエッフェル塔を見下ろすトロカデロ宮殿の丘でフォトストップする。
スリに気を付けるように念を押される。
ここでデジカメで撮影したが・・・あああ! マクロモードのままになってた!
スイスで高山植物を撮影した時から、戻していなかったらしい。
低価格デジカメなのでLCDは無いのだが、
その間に撮影した物は使い物にならないだろう。
(この Web に、その間のデジカメ画像が無いのはそのためである)
まあいいか。写真なら母が撮っているから。
レストランで夕食。
なんでフランス人は食料不足でもあるまいにカタツムリなんか食べなきゃいけないのか良く判らないが、
話のタネにエスカルゴ料理を食べる。バターとガーリックが効いていて、
アサリの様な味である。
さて、次はいよいよセーヌ川のナイトクルーズである。
セーヌ川の不良ガキ
セーヌ川の遊覧船からパリ市内の夜景を眺めるという企画であるが、
今は一年で日が一番長い時期である。よって時刻からすればもう夜なのだが、
まだ明るくてパリの町並みが真昼のように良く見えてこれはこれで楽しかった。
しかし、ここで事件が起きた。
遊覧船で市内を観光していた所、若者らのグループが橋の上から手を振った。
こちらも手を振った所、事前に用意していたバケツで大量の水を浴びせられ、
ツアー客一行はびしょ濡れになった。
わざわざバケツに水を用意しているのだから、
本当にどうしようもない不良少年らであるが、
カメラやカムコーダーを持っていた人も居たので本当に災難であった。
ツアー客の感想によれば、
- 手を振っておいて水をかけるのだからひどい。
- (ガソリン等では無くて) 水だからまだ良かった。
- 時間的に、水を撒かれてから逃げるのは不可能だった。
今までも色々な国を旅行して遊覧船にも乗ったが、
こういう目に遭ったのは初めてである。
私が気になったのは、
不良少年らは、私達が日本人の団体という事で狙ったのだろうか、という事である。
船上には各国の観光客がいたが、
水は日本人ツアー客の集まっている所に見事に命中しているので、
人種偏見等によるものでは、と心配になった。
今後も日本人観光客がパリで遊覧船に乗る場合、
このような事が起きる可能性もあるのでは、と心配になる。
デッキにではなく、屋根のある所に居た方が無難かもしれない。
いずれにせよ、この悪戯が続かない事を願うばかりである。
帰国後、在フランス日本国大使館領事部様にメールで被害報告をした所、
地元警察に問い合わせるなどして丁寧に対応していただきました。
橋の上から遊覧船目がけてバケツの水を浴びせるというタチの悪いイタズラは警察でも初めて聞くとのことで、似たようなイタズラは過去にあったと思われるものの、
警察が取り締まらなければならないような悪質で繰り返し行われた例はなかったものと思いますとの事でした。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
他にも、「トイレは船の中にある」と添乗員さんから聞いていたのに、
実際には見当たらなかったため、
難儀した人もいたようである。
毛布無しの最低ホテル
今回のツアーは最終地パリのホテルがなかなか決まらなかった。
この時期のパリは混むので予約が取り難いのだろうと思った。
そして、大したホテルではなかろうと思った。
実際その通りであったが、
とにかくめげたのは、部屋に予備の毛布が1枚しか無かった事だ。
私は散々フロントに文句を言ったが、「毛布は渡せない」の一点張り。
面倒臭い事はわざわざやろうとしない。
まるで威張り散らした役人の様なスタッフである。
以前旅行したソ連のホテルより酷い。必要最低限の物が、
要求しても出てこないのだから。
お陰で風邪を引いてしまう事になる。
Last modified Date: 2002/01/02 07:27:15
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