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Last modified: Wed May 23 10:36:18 2001
最初の難関
昨日、ドイツ人が「時間が無いので朝食は取らない」と聞いたとき、
勿体ないな、朝食料金も込みなのに、と思った。しかし、彼は正しかった。
私はユースの地下のバーで朝食がもらえるチケットを、受け付けてもらったのだが、
行くと私の前には5人程しか並んでいなかった。
しかし、時間のかかる事!
何と、食事にありつくのに40分程かかったのである。
何度、もう並ぶのをやめようと思ったことか。
しかし、朝食は結構ボリュームがあって、
ロシア人の男性諸君でも食べ切れない人が続出。
そこで私はすかさず他のテーブルから、
食べ残しの甘ったるいパンケーキで、
手のつけられてない物をビニール袋にしまい込んで、
昼の弁当の代わりにする。
エカテリーナ宮殿見物
今日は、かつて大黒屋光太夫らが女帝エカテリーナと謁見し、
帰国の許可をもらった場所で、
おろしや国酔夢譚という映画でも舞台になったエカテリーナ宮殿を見に行く。
それはサンクト・ペテルブルクの郊外のプーシキン市という所にある。
過去の経験では、こういう、街中ではなく、
ちょっと郊外にある見所を見に行くと、予想外に時間がかかる。
距離的には近いので、朝行って見物して、
昼過ぎに向こうを出れば、
2時か3時には戻って市内見物ができても不思議ではないが、
その辺が団体のツアーバスとは違って、
個人だとそれほど効率良くはいかない場合がある。
サル顔のオバさん
ヴィチェプスキー駅で郊外電車に乗り換えるとガイドにはある。
どこで切符が買えるのかと思い、駅を探す。そこの2階にカッサがあった。
幸い、大して並んでいない。窓口で「プーシキンまで」と言ったら、
売子が顔を真っ赤にして、「下に行け!」と怒り狂って鍵で窓ガラスを、
割れるのではないかと心配する程に(なにせ、ロシア製だから)ガンガン叩いている。
あれでは動物園の猿山のボスが、
観光客に危害を加えんと牙を剥いてオリの鉄格子をバンバン叩いている様な物である。
あれしきの事を伝えるのに、そこまで形相を変えなくても、と思った。
とにかく、ここではないという事が非常に良く判ったので、下に行ったが、
切符売場などは無い。通りを行けとか言っていたので、
まさかと思って駅から出て、通りを歩くと切符売場がある。
ここは暑苦しくて、行列していて、なかなか進まない。
このエネルギーを生産的な活動に利用したら、と思う。
仕方なく列に並び、昨日学んだ様に、本を読んで耐える。
待っていたら、「食事」と書いたボードが窓口に掲示される。
しかし、別の列も食事になるのではないかと思い、
諦めずに列をキープしていたら、
やはりこちらの列の方が結果的に早かった。
隣の列も「食事」のボードが掲示され、しかも13時まで食事らしい。
さて、やっと私の番になった。
その結果、ここでも郊外電車の切符は買えないという事が判明した。
仕方無く、郊外電車のホームに行き、
車掌に切符が買えなかったのだけれど、
と相談すると、「下で買え」との事。
やれやれと思いつつ下に降り、
レストランや土産物屋を一緒にしたような小じんまりとした建物の
中に入ると、切符売場があった。切符はすぐに買えた。
値段は僅か6Rである。
1時間ぐらいロスしたのはショックだったが、やっとプーシキンに向かう。
やっぱり、もっと聞いて回らないとだめだ、
ここでは他所者なんだから、と思った。
なんとなく、慣れてくると「あ、きっとここに違いない」と思って、
周囲の人に確認しなくなってしまうのだが、、、生兵法は大怪我の元、
である。
でも、窓から見るサンクト・ペテルブルクの郊外はいい眺め。
天気もいいし。私は電車の窓を開け、小さい子のように、
窓際に立って外を眺めている。
前の婦人に「プーシキン駅に着いたら教えてください」と言ったが、
あまり通じなかった。路線図も持ち合わせていないので、
どこまで来ているのか判らない。
乗りすごすと、またさらに相当時間をロスするので、気が気でない。
ハラハラしていたら、前の婦人が「プーシキンは次の駅だ」と教えてくれた。
結構、ロシア人の観光客が大勢降りた。
お次はバス
駅前は結構、色々な路線のバスがある。
どれに乗ったらいいのか、見当がつかない、とあれば、
教えてもらうしか無い。
道端のアイスクリーム屋の女主人に聞いたら、731番のバスだとの事。
とても暑い。アイスを買って袋を開け、棒を引っ張って取りだそうとしたら、
アイスが取れずに棒だけ取れた。 (;_;)
イマイチ冷え方が十分で無い様であるが、
めげずに食べて、731の停留所で待つ。
見たところ、
列の前の家族もエカテリーナ宮殿を見に来た様子なので聞いてみたら、
そうだとの事。お兄ちゃんも妹も、かわいいお出かけ様の服を着ている。
(母親のセンスによる物と思われる)
バスは結構、スシ詰めだった。今後の事も考え、女性の車掌に
100R出して回数券をくださいと言ったら、なぜか回数券ではなく、
切符とおつりが来た。
ガイドブックの解説によると、
サンクト・ペテルブルクでは回数券は廃止され、車掌が切符を売る
システムになったとあった。
乗ったはいいが、どこで降りたらいいんだと思案していたら、
さっきの家族がすぐ近くに乗っていたので、
宮殿の最寄りのバス停で降りることが出来た。
エカテリーナ宮殿で
入場料が外国人料金にしては安いと思ったら、
これはエカテリーナ宮殿の庭に入るだけだった。
宮殿の中に入るには、さらに取られる。
しかし、ここで「高い! 帰る」とも言えない所が辛い。
内部に入るにはフェルト製のスリッパを靴の下に引っかける。
床が傷つかないようにするための配慮である。
もちろん内部は美しい。英語のガイドにくっついて見て回る。
人数の多いグループに付いて歩くと邪魔なので、小人数のグループが良い
ところで、建築史上の奇跡と呼ばれ、第2次世界大戦で破壊されてしまった
コハクの間はどこだろう、これがどこかも判らずに帰るなんてと思って、
もう1周する。すると、これがコハクの間であった。
しかし、コハクはドイツ軍に略奪されてしまい、今も行方不明である。
大きい部屋の壁の、畳1枚程の面積がようやく元通りにコハクの壁に復元
されている。これ1枚で3年かかったそうな。
残りの壁は、みっともないベニア板が張ってある。
これでは、コハクの間ではなく、ベニアの間だと思った。
庭も少し散策し、戻る。さて、バス停は、どうも降りた場所とは違うらしい。
そこで、女性2人に声を掛けた所、私たちも駅に行くとの事。
一緒に行っていいですかと聞いて、同行させてもらう。
すると、女性の1人はイギリス人の留学生だった。
学校でロシア語を習ったが、あまり話せるようにならなかった。
そこで、この婦人の家にホームステイしたら、ロシア語が上達したとの事。
プーシキン市で英語が通じる人に会うとは思わなかった。
さて、どこまで歩くんだろうと思ったら、2人はバス停ではなく、
駅まで歩いていったのである。私は、また郊外電車に乗ろうと思ったが、
彼女達の提案で、ミニバスに乗る事にした。乗り換えが省ける分、
早いから。と。ミニバスは、ちょうど駅から出発する所だった。
これも経験だと思って、7R払って乗る。車はすいた道路を疾走する。
あれ、マヤコフスカヤ駅ではなく、マスコフスカヤ駅に付いた。
なんだ〜! 勘違いした。
マヤコフスカヤなら、確かに近いんだけど。
結局、ユースに行くためには乗り換えが必要で、
これなら郊外電車と大差無かった。
お次は電話
さて、飛行機のリコンファームが出来ていない。
これをやらないと、帰れなくなるので、するしかない。
マスコフスカヤ駅にはコインで掛けられる電話は皆無で、
仕方無くメトロで電話のカードの100回用を113Rで買って掛けたがつながらない。
市内用と、市外用があって公衆電話も別らしい。
もっとも、全然かからなかった。
電話も掛けられないのかと思うと、気分が暗くなる。
しかし、フィンランド駅に来たら、掛ける事ができた。
アエロフロートに掛けた所、6時前だったが、
「今、やっている時間じゃないわ!」と怒鳴られて、ガチャッと切られる。
民営化されても、サービスという点では国営時代に比べ全然マシになっていないようだ。
まあ、いつかはリコンファームできるだろう。
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