次へ|
前へ|
目次
Last modified: Wed May 23 10:35:25 2001
朝、目が覚めると、私はちゃんと寝台の上に横たわっていた。
(寝台から落ちて病院で目が覚めるのではなくて良かった)
窓際のテーブルを見ると、なんと簡単な朝食が用意されていた。
目を疑うことに、テーブルにはバラの花が、、、
しかし、良く見たら、造花だった。
そりゃ、そうだ。花瓶の水がこぼれたら大変だしね。
さて、父親はミネラルウォーターを開けてカプっと飲んで、
「べ〜、まずい!」みたいな顔をしている。
やっぱり、
日本人が飲むと誰もがメチャクチャまずいと言う炭酸入りのミネラルウォーターは、
ロシア人が飲んでもまずいのだと知って安心する。
いや〜、みんなでこんな物をおいしいとか言って飲んでたら、
どうかしてるなと思っていたんだが、、、
何で炭酸入りしか売っていないんだろう? 炭酸抜きだと、
不良業者がその辺の池の水とかを詰めて売るからかな。
それで、この父親は、持参したカップで車内の湯沸し室で紅茶を入れて、
それを飲んでいた。
私は、列車の水質は良くないという噂を聞いていたので、
ミネラルウォーターで我慢した。
私が乗ったのは、「赤い矢」号ではなかったらしい。
サンクト・ペテルブルクに到着すると、
本物の「赤い矢」号が来た。
こちらは到着すると、おごそかな音楽がホームに鳴り響き、
英語のアナウンスがある。客も、見なりの立派な人や、
アメリカ人のツアー客などである。
私のは、これに比べると庶民的だった。
ホリデー ユースへ
地下鉄に乗りレーニン広場駅で降りて、ユースへ向かう。
チェックインして、荷物を部屋に置き、
何はさておきエルミタージュ見物。
地球の歩き方の地図は、思い切り間違っていて時間をロスした。
「1997年現地発行の地図に準じています」なんて記述をつい信用した私が馬鹿だった。
やっぱり、「地球の迷い方」だと思い知る。
絵も多いけど、人も多いなぁ
これがエルミタージュか。まず、切符を買うのに30分かかった。
暑い日なのに、入口に人が蟻のように群がって、押すな押すな状態で、
余計暑苦しくなり、切符を買うだけで疲れてしまう。
さすがに、「あぁ、、、団体だったら、
外国人団体専用の入口から待たずに入れるのに、、」と弱音を吐いて
しまう。しかし、ロシア人は、こういう時のために、
本を持参して行列に耐える術を身に付けている。
30分、何もしないで並んでいると、
「早くしろ!」と頭の中で何度もリフレインする以外に無いが、
本を読んでいればそう苦痛ではないのか。
入場料は250R。さすがに足元を見た様な料金だ。
国際学生証があれば外国人でもタダだから、
値段なんてあって無いも同然とも言える。
同じ物を見るのに、250R払う外国人、30R払うロシア人、
タダで見る学生と3通りある。
でも、ソ連時代はホテルがこんな感じだったから、
旅行が随分高くついた。
絵を見る前から疲れているので、せっかくの絵もあまり楽しめない。
一休みしよう。そう思ってカフェに行って、
食事を得るのに行列50分。食事をして、元気が出るどころか、
かえってすっかり疲れ果ててしまう。
ここの売子はキビキビと働いているが、
売場のシステムがソ連時代と同じで、
客に自由に選ばせてレジでチン、というのではなく、
客が「あれと、それからこれ」といった風に注文する品を取り揃えるので、
食料品の万引き防止という点ではメリットがあるが、
効率が悪く、客が押し寄せると対応できない。
でも、ようやく座って、サラダや、サラミの載ったパンをパクついて、
お茶を飲む。さて、観賞再開・・・と思いきや、
腹の具合がおかしくなってくる。
う〜ん、、、火を通していないここの野菜は駄目かぁ、、、
しかし、これがまた良くした物で、
エルミタージュは広過ぎてトイレも容易な事では見つからない。
それにしても、私の旅行記にはトイレネタがついて回るが、
エルミタージュのトイレは、すごい。
(婦人用トイレは行列もすごい)
入った途端、使う気力も失せて「出よう!」と思うぐらいである。
壊れて汚い便器、閉まらないドア。
使用中かどうかは背の低いドアの上からのぞいて確認するという、
素晴らしい設計。
勇気を出して用事を済ませる。さて、出ようと思った矢先、
上からガキがのぞいた。そのガキは、大喜びで、
「あははは〜、俺、あいつのチ○チ○見ちゃった〜!」と、
友達に吹聴している。アホか、おのれは。
お前だって付いているだろう! 他人のを見てそんなに嬉しいか?
このク×ッタレめ。(あ、それは私の方か)
さあ、出てやるから使え。今度はお前がする番だ!
放送途中でお見苦しい個所がありました事をお詫びします。 (^_^;
これでやっと絵画観賞の体制が調った。
まあ、凄いというか、美しいものを見過ぎて麻痺した私の目に、
これでもか、
これでもかとさらに美しい作品がバンバン飛び込んで来る。
ルーベンス! ヴァン・ダイク! レンブラント!。
しかし、良い事ずくめではない。
ラファエロは「出稼ぎ中」だった。
だったら、割引しなさい!
それに、ゴーギャンとマチスのヘタクソな絵。
マチスの絵はあまりに美しくないので、
こんな物を見てしまうと目の保養が必要になるぐらいだった。
幼稚園児がこんな絵をかいたとしたら、
先生が「この子は頭がおかしいのでは」と心配しそうである。
他の日本人の団体が来たが、「変な絵ねぇ」としみじみと感想を語っていた。
これが正常な感覚という物であろう。
でも、私は自信を持てた事をうれしく思った。
こんな絵でもエルミタージュに飾ってもらえるのだ、と。
エルミタージュのすぐ前に遊覧船乗り場がある。
40Rでネヴァ川クルージングを楽しんだ。
もっとも、同じ所を行ったり来たりしているような気もしたが。
嵐の夜
ユースに戻ってしばらくすると、豪雨と雷があった。
私は無事だったが、一緒の部屋になったドイツ人旅行者はずぶ濡れになった。
たとえ晴れていても、傘を持ち歩くほうが安全だと思った。
ユースはPCがあって、宿泊客にメールを使わせてくれる。
それで、会社や友人に近況報告をしようと思っていた。
受付には、宿泊客の間で評判の、不親切な女性が番をしている。
でも、「受付を替えてくれ」とは言えないので、
仕方無く彼女にメールを使わせてくれるように頼もうと思っていた。
ロビーのソファーに座って彼女の手が空くのを待っていたら、落雷でユースが停電した。
パソコンの画面は真っ黒になり、FAXはピーピーと悲しげに音を立てている。
彼女は恐ろしい形相でドアに怒りをぶちまけるように、
力一杯「バン!」と叩きつけて受付を出ていった。
配電周りを点検しに行ったようである。
しばらくして戻ってきたが、パソコンもFAXも一向に使えるようになった気配は無い。
彼女の表情も、口をききたくなるような穏やかな様子ではなかった。
こういう商売では、FAXが使えないと困るだろうとは思ったが、、、
それ以外にも、人格的に問題があるような気もしなくもない。
ロビーにはここのユースのパンフもあって、
そこには "Friendly staffs" (親切なスタッフ)だと書いてるのだが、
きっとこれは "Frightfully staff" (恐ろしいスタッフ)の間違いだろう。
今夜はメールを出すには日和が良くないようである;明日にしよう。
ドイツ人旅行者と
ドイツ人旅行者は昨日目撃した事を話してくれた。
彼によると、ユースの前の川に死体が浮くという事件があった。
彼が驚いたのは、警官の事件処理の方法であった。
パトカーが来てから、警官がしていた事は以下の通り。
- タバコ吸ってた。
- ビール飲んでた。
- タバコ吸ってた。
こうして、何ら救助も捜査もせず、1時間後、救急車が来た。
救急隊員が引き上げた時には、既に死んでいた。
そして、警官らは帰った。警官は、全く何もしなかった。
ネヴァ川。ユースのすぐ前にて撮影。
前日はここに死体が浮いていたわけである。
向こうに見えるのが跳ね橋。
次へ|
前へ|
目次