マサダはヘロデが建てさせた要塞であるが、
ユダヤ人が反乱してたてこもった所である。
しかしまだバスが出るまで時間があるし、 「私はあの死海で浮いた」にしても、まだちょっと浸かった程度なので面白くない。 そこで、懲りずにまたチャレンジする。 時おり波が来ると、ボード無しでサーフィンが楽しめる・・・のはいいとして、 肌の痛みが増し加わり、我慢の限度を越えて退散となった。
シャワー室に戻る途中、タダの水シャワーがある事を発見。
「なんだ、5シェケル払うまでもなかった。更衣室だって、
男ならタオル1枚あれば下半身を隠して着替えられる」
と後悔した。
シャワー室ではロシア出身のおじさんが掃除していて、
「5シェケル払ったのか?」と言うので
(なぜかこうなる予感がしたので、サブザックは下駄箱のようなロッカーに押し込んでおいた) チケットを見せたら納得したようだ。
まったく、後から掃除しに入ってきてチケットがどうのこうの言うなら、
最初からずっと入口で番をして客の顔でも覚えてろって。
朝から何も食べていなかったので、
売店でツナサンドを買う。12シェケルだ。
まあ、リゾート地だと思えばこんな物か。割と大きく、空腹はそこそこ満たされた。
ヒマそうな犬が寄ってきたが、
何も貰えないとわかると去って行った。
木陰にベンチが幾つかあるが、大抵の席は塞がっている。
地元の人間にとっては、死海は入る物ではなく、
浜辺で持参した食べ物を食べたりしてのんびり過ごす所らしい。
バスに乗って Ein Gedi の国立公園に行く。
再び「団体だ」と言い張ってみたが、
「団体は30人以上で、まとめて払う場合に適用される物であって、
別々に払う場合は駄目」と言われ、しぶしぶ18シェケル払う。
潅木が現れる。
「ガゼルだ!」という声でみんなの方を見ると、
立派な角のある野性のガゼルが近くに居た。
あまり人間を見ても驚かないようだが、
餌をねだったりはする事も無く、
マイペースで草を食べている。
さて、山道を汗をかきつつ登っていくと、
何だか少し涼しくなってくる。滝だ。
もっとも、この程度の滝なら、日本ならホテルの庭園ですらありそうな小さい物だが、
ここ砂漠においては、滝があるということ自体、
奇跡的な事なので、イスラエルにとっては名所なのだ。
滝の下はちょとした池になっていて、主に子供が泳いでいる。
「こっちの方が死海よりマシだな。暑いし、しかも時間がある」という事で、
沢山観光客がいるのにもめげず、タオル1枚で水着に着替え、
バスツアーで一緒の、陽気な黒人青年にカメラを渡して何枚か撮影してくれと頼む。
ちなみに、彼は相当に聖書に詳しかった。
隣に座った女の子と話し合いをしていたが、内容は非常に高度だった。
神学生かもしれない。
日本の温泉で打たせ湯というのがある所もあるが、
その代わりに Ein Gedi で滝に打たれた後は、
さしてする事もなく、
この池(というより水溜り)を根性で泳いで、上がって、タオル1枚で着替えて戻る。
入口に戻る。水飲み場があって、冷たくておいしい。 腹一杯飲んで、ペットボトルにも詰める。
バスは、イスラエル兵が詰めている検問所を通り、まず Mt' of Temptation へ。
ここは写真撮影で5分バスが止まっただけである。
地元のパレスチナ少女が側を走っていった。
何と、彼女は裸足だった。
この、足の裏が焼け付くような強烈な日射しの中、
アスファルトの道路を平気で走っているのだからびっくりする。
次に Monastery に行って、 Photo stop。
よくこんな険しい所に Monastery を作った物である。
この辺は Wadi で、眺めはダイナミック。
ここに観光ラクダがあって、乗ってみようかと思ったが、
他の乗客の事を考えれば、1人で時間を取るわけにはいかない。
食事を終えてその辺をブラつく。エリコはA地区なんだが、 特に他の街と違うといった特徴は無い。 ベスレヘムに比べて、パレスチナ旗も少ない。 多分、ここは自治権もある、実質的に完全にパレスチナの街なので、 「ここはイスラエルじゃない。パレスチナなんだ」と叫ぶには及ばない、という事だろうか。
でもここからの眺めは素晴らしい。
さて、バスツアーはここで終り。 ダマスカスゲートに戻り、解散。 Al Hashim に戻って、 休む事無しにすぐに観光に出かける。 あと2日で帰国なので、 明日の土曜に閉まる場所と、明後日の日曜に閉まる場所を良く考えて回らないといけないのだが、今日はアルメニア博物館と、ベツサダの池に行く事にする。
他には、アルメニアはローマよりも前の4世紀にキリスト教を国教と定めたので、 ギリシャ正教よりも歴史がある事なども説明されていた。 (だからエルサレムにはアルメニア人地区が残っている)
出口でアルメニア人虐殺の歴史を示す地図を10シェケルで買った。 新聞紙で丁寧に包んでくれた。
私は今、エルサレムに戻っています。 泊まっているのは、前回と同じ Al Hashim です。 電話は (02)6284410 です。 もう冒険の類は一切ありません。 後は帰国するだけです。火曜日にお会いしましょう。私が旅先でメールを送るのは、 別に義理固い訳でも挨拶が好きな訳でも仕事の事が気に掛かる訳でもない。 自分が旅行中に行方不明になった場合に捜索してもらいやすくするために現在地と連絡先、 今後の予定などを送るのが主な目的である。 しかし今回の旅は、 サイクリングをしたり、 砂漠をトレッキングしたり、 イルカとシュノーケリングしたりと、「大冒険」という程では無いものの、 ちょっとした冒険メニューが含まれていたのだが、 別段トラブルに巻き込まれたりはしなかった。 もう明日は市内観光を幾らかして、 土産を買って帰るだけだから楽勝だと思った。
しかし今回の旅行中最大のピンチが明日、 降り掛かってこようとは、この時点では知る由も無かった。
宿の近くのレストランでチキン 1/2 羽とポテトのセットメニューを頼む。 少し慣れて来て、紅茶より安い果物ジュースを頼む。 しかし出てきた量を見て、「うえっ!」と思った。 チキンは 1/4 羽にすべきだった。考えてみれば、 日本でも1人でニワトリを半分食べたりはしない。 後悔しつつ、平らげた。
宿に戻る。今日は疲れた。朝3時から観光して回ったからね。 シャワーを浴びる。今日は洗濯する必要は無いのだが、 ここのシャワー室には窓があり、 少し開けておけば砂漠だからすぐ乾くだろうと思った。 粉石鹸も残っているので洗濯する。 これで、使用済みの下着を税関で見せないで済むのだが、 まあ、別にどうでもいい事だ。
Last modified Date: 2002-01-03 20:32:57+09