次へ前へ目次

出国

チェックインが始まった。 アムステルダムに着いたらトランジットの合間に少し街をブラついて土産でも買おうかなと思った(金も無いのにどうやって土産を買うかという問題はあるが)私は、 コインロッカー代を節約する目的で、パンツやタオル、その他の価値の低い物をプラスチックのバッグに入れ、これをチェックインしたい(つまり、機内預りにしてくれ、という事)と言って秤の上に置いたら、KLMの職員は「持ってけ」と一言。 う〜む・・・目論みは見破られたようである。 確かに、短時間なら小指一本に引っかけて持てるぐらいの重さでは仕方あるまい。

さて、機内の39Aの席には毛布が無い。なんてサービスだ。 まるでソ連時代のアエロフロートみたいだ。毛布も客の数だけ無いのか。 もっとも、普通の旅行者なら、上着などを持っているので、 多少の寒さには難なく対処できるが、私の場合は上着などは無いので、 離陸するや否やキャビンクルーに真っ先に「毛布を下さい」と頼み、融通してもらう。 食事だ。22時間ぶりに、私の胃袋に水以外の物が入る。 テルアビブの上空は曇っていた。 イスラエル滞在中は、雲などという物は一度も見なかったので、 鰯雲があるなんてびっくりしたが、 テルアビブは地中海に近いためだろう。イスラエルが次第に遠ざかってゆく。 前方右の列に座っているのは、 日本人のグループのようだ。 イスラエル滞在中は、日本人は1人も見なかったんだが、 ここで会いました。 (^^;

お金が無いのでスキポール空港では何も食べられないと思い、 朝の機内食も何1つ残さず食べる。

アムスでの用事

アムステルダムのスキポール空港に到着。 空港内のコインロッカーが幾らするかを見に地下に行ったが、 8ギルダーもするので、今の私には無茶苦茶高い。 荷物を全部持ってコインロッカー室の隅にあるトイレで洗顔を済ませ、 上の階に上がって水飲み場を探す。貧乏人でも水はタダで飲めるのでありがたい。 さて、作戦を練る。お金はほとんど無いが、どうしても必要な事が しかし、成田から自宅まで帰るのにお金がかかるので、14ドルには手はつけられない。 そこで優先順位を考えると、 たとえ土産を買えなくても、 カード悪用の被害に遭う可能性は防止しなくてはならない。 カード会社の連絡先を調べよう。 そこで2階の電話局に行って、 「1分1ギルダー」という看板があったので、 使っていいかと窓口の女性の係員に聞いて、使う。 さて、PCの前に座って腕時計のストップウォッチをスタートさせる。 あれ? 見た目が違うぞ。それに、マウスのボタンが1つしか無い! げえ、 iMac だ! と、一瞬あせるが、とにかく、1分で済ませなければお金が余計にかかるので、 気合いで Yahoo! にアクセスし、 自分で自分に宛てて出した忘備録のメールを開いて、 電話番号をメモし、即座にログアウトして窓口に走って、「終った!」と言う。 見事、1分でやってのけたのだ。 しかし「2ギルダー」と言う。 なんでだよ、と食い下がる。 「約2分だったわ」と白々しい。 それに、「ミニマムチャージが2ギルダーなのよ」だと。 だったら、「1分1ギルダー」なんて看板は嘘じゃないかと思って、 「お前は嘘をついている。客を欺いた。ここには1分1ギルダーとしか書かれていない。 後からミニマムチャージの事を言うのは、契約違反だ」と、強硬に文句を言おうかと思ったが、 経験上、大抵の人間は、嘘つき呼ばわりされると怒るのでやめておいた。 それにしても、金が無いと、1ギルダー(約50円)余計に取りやがったと、 食ってかかりそうになる。まあ、しょうがない。 金が無いんだから。手にしている僅かのお金は貴重なのだ。

ハナシにならないカード会社の緊急連絡先

やっと調べた緊急連絡先だが、今どきコインでかけられる電話は少ない。 空港中、聞いて回って「銀行の横にある」と聞いて、 それではと行ってみれば実際にはカードでしかかけられない電話だったりする。 はぁ・・・ダメかぁ。仕方ない。諦めて日本に帰国しよう。 では、出国して土産でも買うかと思い、 出国したら、荷物が出てくる所にコイン式の電話があった。 さて、コインを入れるのにも頭を使わなければいけない。 高額のコインを最初に入れて、 間違い電話とかしてしまうとアウト(コインは戻らない)から、 「最低 0.75 ギルダーを入れないと発信しない」とあるので、 0.25 ギルダーを3枚入れた。しかし、1枚は返却されてしまう。 仕方が無いので、0.25 ギルダーを2枚、1ギルダーを1枚、 そして後は額面の大きいコインを入れる。そして緊急連絡先に電話した。 バインダーを開いて、カード番号はすぐに答えられるようにした。 緊急連絡先に事情を説明し、カード番号も告げた。 電話の相手は私の名前を確認してきた。 そして「では、盗まれたわけではないんですね?」と、 そんなのは紛失係の私の仕事じゃないわよとでも言いたげに。 ここでタライ回しにされてはかなわない。 とにかく、こっちはさっさとカードを無効にしてもらいたのに。 カードが銀行のATMに取られた時の様子とか、 その銀行に連絡はできないのかとか、のんびり・ゆっく〜りと尋ねてくださる。 ばっ、馬鹿野郎〜、こっちは国際電話だぞ! と思っているうちに、コインは尽きた。 頭に血が上った私は、全くハナシにならないと思って、怒り心頭、空港を出た。

Last modified $Date:$


次へ前へ目次